2020年度実施の大学入学共通テストに導入される国語の記述式問題について、高校生らが中高生や教師らにインターネット上で呼び掛けて自己採点の再現実験を実施し、出題中止を訴えました。
自己採点は、受験生にとって二次試験で出願する大学を最終的に決める材料。実際の得点と乖離(かいり)すると、適切に出願先を選べなくなる。そのため高校生らは、記述式の是非を巡る議論をするには客観的なデータが必要だと感じ、アンケート形式による再現実験を思い立った。今月九~十一日の三日間にインターネットで呼び掛け、高校生八百十五人、中学生二十人、大人六百十人の計千四百四十五人が参加。大人のうち八十六人は現職の教員、予備校講師やその経験者だった。
(東京新聞)
大学入試改革ですが、様々な問題があるようですが、本当に大丈夫でしょうか。

改革内容は大人たちの机上の空論に過ぎないのではないかという気がしますね。
インターネットの良い使い方なのではないでしょうか。
高校生にとって、インターネットやSNSというのは、自由な発想で使える反面、その使い方での問題が指摘されることもあります。
しかし、今回は、インターネットで、記述式問題の是非を問うためのアンケート実施に協力してくれる人を集めたとのことです。
試験制度に疑問を持つだけでなく、実際に行動に移したというのは、非常に素晴らしいことですよね。
検証の結果は?
代表の高校生(16)は「誰が判断してもばらつきが出る。現状の採点システムに問題があるということだ」と指摘、中止を訴えた。別の生徒(17)は「よりよい試験へ改革するのはいいことだが、十分準備して実施するべきだ。いったん立ち止まり、当事者の声を聞き入れて」と思いを語った。
準備不足でも実施を推し進めようとする大人側に対して、このような冷静な分析を行っています。どちらのほうが大人な意見でしょうか?
再現実験に参加したうち約九百人が寄せた感想も一部紹介。「人によって表現が異なり、解答の解釈も一通りではない。公平性、確実性に欠ける」「思考力を測る目的なのに型にはまった答えを導き出そうとしている」「五十万人規模の採点は不可能。民間業者への委託は論外」など、すべて否定的な意見だったという。
当初から懸念されていたように、大規模な採点を、民間業者に委託して実施することには、受験生の自己採点と実際の結果のブレや、採点基準の統一の不可といった問題があると思われます。
本来は、このようなことを、文科省が導入を検討する前に、検証していなければいけなかったのではないでしょうか。
しかし、高校生が署名や検証をしなければいけないとは…。
一番の問題は、これらの検証の実施や、人を集めるといったことを、高校生がしなければいけなかったことなのではないでしょうか。
今月6日には、都内の高校生らがつくった「大学入学共通テストから学生を守る会」が、ツイッターで広めながらインターネット上で集め、全国の高校生らから集めた約4万2千人分の署名を文科省に提出しました。
「多くの当事者がおかしいとずっと言っているのに、誰の声を聴いてどういう判断で実施しようとしているのか疑問を感じる」
まさにこれだと思うのですよね。
そもそも、大学入試改革が「誰のため」「何のため」なのかというところに立ち返る必要がありますよね。
受験生や高校生の学力を図るためのものとして、どうなのかということから主旨がズレてしまっては意味がありませんよね。
世論で動くのはどうなのか?
とはいえ、署名が集まったり、当事者たちが検証して意見をまとめたりして提出し、それによって、国や制度の在り方に影響を及ぼすことには是非があるかと思います。
神戸東須磨小学校の教員いじめ問題では、加害教員への給与差し止めの条例改正について、世論が少なからず影響しているのではないかと思われます。

最終的にこのようになってしまっているのは、法律や条例、ルールが現代に合っていないことや、対応の遅さが問題でもあるかと思います。
また、判断内容が、現代の社会と合っていなかったり、そもそも、国民の考えや生活等とズレた内容であることもあるのではないでしょうか。
「桜を見る会」もそうですが、そもそも何のためなのかということが、ものごとには重要だと思います。
入試改革も同様で、大人にとって、何らかのメリットがあっても、それは受験生への負担でしかないということを、きちんと判断してもらいたいものですね。